先進国の中でも低学歴社会の日本
その理由は、企業の採用へのスタンスと、それに応える学生にあります。
上記リンクでは、企業の人事担当からのインタビューを元に、企業と大学院生のすれ違いを述べています。
採用を担当した経験もあるので、ここにある企業側の原因(“数合わせが最優先、「見極める能力」は低い”など )も理解できます。
企業にとって採用活動は経営に直結するものなので、リソースも潤沢に割かれるべきですが、
採用の実務担当者は大量の雑多な業務に忙殺されているのではないでしょうか。
例えば、昨年度の振り返りや今年度の方向性を検討して、PDCAを回して経営課題に対して採用計画はどうあるべきか考察することは大事な業務です。ただ、そこに力を注ぎたいにも関わらず、目の前の業務を処理することに追われているのが実態に思えます。1回の説明会を行うにしても、会場手配や広告物品の用意、人の手配、説明用資料の用意、そして説明会へ派遣。やることが山ほどありますし、説明会に行けば一日拘束されてしまいます。面接のシーズンに突入すると、エントリーシートの確認や、学生と面談やフォロー、面接対応。
ここに書ききれないような大小の雑多な業務が山積みなのです。
なので、企業として経営課題だと認識して人員を配置し、アウトソーシングの活用や管理者によるしっかりとした業務差配がないと、戦略的な採用活動ができません。
大学院卒の能力を見極めるのは、新卒の大量採用を行う企業側にとって、余力がないと難しいのです。
日本の企業は大学院卒を積極的に採用しない、採用できない、
その理由は上記のような企業の採用の実態が一例としてあります。
日本以外の先進国ではどうでしょうか。
極端な例かもしれませんがGAFAやユニコーン企業は、従業員のほぼ全員が大卒、経営幹部は大学中退の際立つ個性の持ち主や世界中から集まったマスターやドクターだかりです。
一方で、日本が得意としてきたものづくりは、いわゆる製造業の工場モデルです。
製造業は世界的に見ても大卒が40%と言ったデータがあります。
製造業の従業員は、高学歴である必要はなくて、むしろ素直で我慢強く、協調性あって、上司の言うことをきく人材が要請されます。
つまり、黙って長時間働いた方が生産性は上がるんです。
日本の製造業の工場モデルが成功したのは、東西冷戦、人口増加といった時代背景のおかげです。
そして、冷戦、人口ボーナス、製造業の工場モデルといった戦後の高度成長を支えた3条件は今では消失しています。
それにもかかわらず、働き方(長時間労働)や人材教育は製造業の工場モデルのままです。
企業が、いまだにこの工場モデルから脱却していない限り、低学歴社会が存続します。
日本の大学生が勉強しなくなるのも、それは企業が悪いんです。
採用時に、学業成績を聞かずに、クラブ活動やアルバイト経験など聞かれる面接が蔓延っています。
学業よりそういう活動をした方が良いと学生は勘違いします。
大学に行かない、大学で勉強しない、大学院生を採用しない、長時間労働で社会人となってからも勉強する時間や余力がない。
ゆえに、日本は低学歴社会なのです。
それでは高学歴社会にならない!